離婚する際の方法は、大きく分けて、①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚の3つがあります。
それぞれ違いやメリットデメリットがありますので、それを理解したうえでどの手続きを選ぶかご参考にしてください。
大まかにいえば当事者の話し合いによる離婚です。別の言い方をすれば「裁判所が関与しないで行われる離婚」です。そのため、弁護士に依頼しても裁判所を通さずに離婚するのであれば協議離婚に分類されます。年度によって若干の差はありますが、離婚全体のうち90%ほどがこの協議離婚によるものです。
メリットは裁判所を通す必要がないので当然ながら裁判所に行く必要がないこと、相手がしっかり協議に応じるのであれば調停よりスピーディに解決する傾向にあることです。
一方、デメリットは強制力が全くないことです。相手は離婚に応じる義務もなければ、そもそも話し合いに応じる義務もありません。そのため、相手に無視されてしまったり、協議が決裂した場合には調停や訴訟に進むしかなくなってしまいます。
家庭裁判所で行われる調停という手続きによる離婚です。割合としては離婚全体の約8%が協議離婚です。
裁判所では調停委員という方が双方の主張を聞いて落としどころを探るのに協力してくれます。話す相手は調停委員ですし、裁判所に呼び出される時間もずらされる(1回目の調停の日の場合、申し立てた側の集合時間の20分から30分後に相手の集合時間が指定されます)ので、相手と顔を合わせることは基本的にありません。
メリットは調停委員が間に入ってくれるので、直接話し合うよりお互い冷静になりやすいこと、裁判所からの呼び出しとなると相手も無視しにくく、ある程度の対応が期待できることです。
デメリットは、裁判所に行く必要がある点と、実は強制力がそれほどないという点です。
調停は午前中又は午後いずれかを丸ごと使って行われます。午後は裁判所が閉まる17時まで行われることも毎回ではありませんが珍しいというほどでもありません。弁護士に依頼しても本人が出席するように裁判所から求められることが多く、お仕事を休んだり、お子様を預けたりする必要が生じます。家庭内のことは本人が最も詳しいため、裁判所としては本人に来てほしいと考える傾向にあります。
強制力は協議離婚よりはありますが、ご想像よりは弱いと言わざるを得ません。調停は、2人の間に裁判所が入っているだけであくまで当事者の合意がなければ離婚を強制できないのです。
家庭裁判所で、訴訟という手続きで裁判官が離婚を成立させるかを決定する手続きです。「原告と被告を離婚する」という判決によって離婚を実現します。割合としては離婚全体の1%程度です。
通常の訴訟は事前交渉などをせずいきなり訴訟を起こすことも可能ですが、離婚訴訟については調停が不成立にならない限り訴訟ができないというのが大きな特徴です。
メリットは、裁判官が法律に基づき判断してくれるので、法律的な根拠があり、証拠がきちんとそろっていれば相手が納得しない条件も実現できるという点です。
デメリットは、時間がかかるという点です。訴訟提起までに調停を行う必要があり、調停が不成立になってからやっと始まるので、どうしても時間はかかります。また、これはメリットの裏返しですが、法律的な根拠がないか、証拠がそろっていない主張は認められません。
自分から離婚を求めるのであれば調停から考えてみるのがよいでしょう。
こちらのページをご覧になっている方は、多少なりとも弁護士への依頼を検討しているのではないでしょうか。
弁護士への依頼を検討しているということは相手と協議がまとまらない可能性を心配していると思います。仮に協議が上手くいかなかった場合、それまでに十分に協議を重ねていても調停を行う必要があるため、実質的に2度協議を行うという手間が生じてしまいます。協議が上手くいかないときにスムーズに訴訟に移行できるという点で協議より調停の方が優れています。
協議離婚によることを考えていい場合としては、相手に弁護士がついていて協議離婚の申し入れがあった場合です。この場合には相手は早く離婚したいと考えていることが多いので、こちらも離婚してもよいと考えているのであれば協議してみてもいいと思います。